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拝啓
向寒の候 ますますご健勝にお過ごしのことと存じます。
早いもので、高等学校を卒業してから一ヶ月が経ちました。在学中には、たいへんお世話になったのにも関わらず、その後ご無沙汰してしまいましたことをお許しください。お陰様で、とても元気に過ごしております。
先生は、あの時のこと、覚えていらっしゃいますか?私が先生を屋上へ呼び出した、あの時のことでございます。今でも、なんてベタなことをしたのだろうと、時折後悔の念に駆られます。返事をせがむ私に、「卒業したら」と先生は申されました。察しの良い先生なら、もうお分かりでしょうが、今回こうしてお手紙を認めたのも、改めて、返事を聞くためでございます。どうか、お答え頂けませんでしょうか。ええ、場所はお伝えしません。日時は今日の夕方までに。
時節柄、体調を崩されませんよう、どうかご自愛くださいませ。
敬具